日本語版キャスト
ソノシート版情報提供:リラロン様
上映・放映リスト
英国
1966年12月12日 月曜日 午後8時30分(ロンドン・パヴィリオンでのプレミア上映)
1966年12月15日 木曜日
日本
1967年7月15日 土曜日(新宿ミラノ座・渋谷パンテオン・松竹セントラル:11時10分から)
鑑賞料:幼児150円、小中学生250円、高校大学生330円、一般400円。
※横浜ピカデリーと川崎グランドは7月29日(土)ロードショウ(7月28日『朝日新聞』夕刊8面広告より)
※浅草ロキシー、上野東急、池袋東急、新宿東映パラス、吉祥寺ムサシノ、川崎名画座、横浜日活シネマでは8月19日(土)より公開(8月18日『読売新聞』夕刊2面より)
新聞記事
1967年5月21日『読売新聞』朝刊21面「ジージョ君やロボット怪獣 テレビ人形劇の動画も」
リアルになる怪獣
〔略〕
洋画は「サンダーバード」など―「ダンボ」も登場
一方、外国映画では、テレビで子どもにもおとなにも大きな人気をはくしたイギリスのSF人形劇「サンダーバード」が、こんどは劇場用として製作され、これも七月中旬ごろから公開される。配給会社のユナイトは、NHKテレビと同じ声の吹き替えで、いま日本語版を製作中だ。
初めての劇場用映画(上映時間約一時間半)なので、サンダーバード1号から5号まで勢ぞろいさせたほか、火星探検ロケット、ゼロXが初登場。別々の格納庫におさまっているその各パートが、中央司令室のボタン操作一つでドックに集められ、整然と組み立てられていく過程を冒頭で約六分間じっくりと見せる。
このゼロXが離陸後、何者かの妨害にあって爆発、第二のゼロX発進に当たって国際救助隊の護衛出動となる。地上ではペネロープが水陸両用ロールスロイスで悪者を追いつめ、宇宙空間では宇宙中継船サンダーバード5号が大活躍。かと思うと、サンダーバードの面々が宇宙にぽっかり浮かんだナイトクラブで遊ぶ幻想シーンがここだけカットしてもよいようにちょうど一巻分(約十分)はいっていたり。製作者ゲーリー・アンダーソンの満々たる意欲が、随所にうかがえるようだ。
このシーズンに欠かせないディズニー映画は三本。
〔以下略〕
写真キャプション:「サンダーバード」に登場する火星探検ロケット〝ゼロX号〟
写真:離陸直後のゼロX号の写真(右向き、1号翼の数字や垂直尾翼の文字は読めないが、2号翼の「2」ははっきりと読める)。
1967年6月12日『朝日新聞』夕刊12面「映画になる「サンダーバード」 「ゼロX」も初登場」
NHKテレビから放送されて、子供たちの人気を呼んでいたSF人形劇「サンダーバード」が、こんどはカラー、ワイドの映画になり、七月中旬に公開される。これは劇場用のために、まったく新しく作られたもので、サンダーバード一号から五号のほか、テレビには出なかった「ゼロX」というロケットが登場する。このゼロXは胴体が四つの部分に分解し、頭の部分が独立して火星探検車にもなる。この新兵器からもわかるように、物語は宇宙のしめる部分が大きい。宇宙開発局の火星探検を妨害しようとする悪人たちを相手に、サンダーバードが活躍するという設定になっている。
このゼロXのほか、水陸空を自在に走れる自動車も登場する。人形が乗る三メートルの車は六百万円という値段。いままで、撮影の方法や、人形、兵器の大きさはいっさい秘密だったが、この映画の公開を機会に、少しだけわかったことは、サンダーバード一号から五号までそれぞれ大きさを違えて三種類ずつ作られているということ。たとえば一号機は高さ十四㌢、三十㌢、六十八㌢の三種類になっている。
もうひとつは登場人物の人形について、隊長ジェフ・トレイシーとその五人の息子たちなど、これらの人形はプラスチックやファイバーグラスなどで作られていて、背丈は五十五㌢前後。背丈に比較して頭が大きいのは、この頭の中に電子頭脳が入っているからだという。手足はあやつり糸で動くが顔の表情はこの電子頭脳が動かすそうだ。特殊な装置で口の動きと台詞が絶対にズレないようになっている。しかし、日本公開の場面はテレビと同じメンバーが声の吹替えを受持っているから電子頭脳ほどピタリといくかどうか……。
写真キャプション:この映画で初めて登場するロケット「ゼロX」
写真:下から見上げた飛行状態のゼロX号
1967年7月6日『朝日新聞』朝刊16面「小中学生におくる―「サンダーバード」ショー」
◇テレビの「サンダーバード」ショー(パノラマ、写真構成模型など)を次のとおり開催いたします。▷とき・ところ 十五日~八月三十一日午前九時~午後八時、向ケ丘遊園地(小田急向ケ丘遊園駅下車)大ホール。▷入園料 おとな120円、こども60円。
◇サンダーバード前夜祭=映画「サンダーバード」(ユナイト映画提供)野外試写会親子四百組無料ご招待。▷とき・ところ 十四日午後六時半から 向ケ丘遊園大階段(雨天中止)▷申込みは往復はがきに住所、氏名(返信用にも記入)、学校、学年、父兄の氏名を書いて、東京中央郵便局私書箱四五六「朝日新聞・サンダーバード試写会」係あて。十日締切り。申し込み多数の場合は抽選。
主催 朝日新聞社
協賛 小田急電鉄
小田急百貨店
ユナイト映画
1967年7月11日『読売新聞』夕刊4面「特集グラフ サンダーバードがカラーの大画面の映画になった!」
(見出し右)
広告のページ
NHKテレビでパパからベビー・ギャングまで、広い人気を呼んだ「サンダーバード」が、テレビとは比較にならぬ迫力のカラー・テクニスコープ大画面、日本語版の映画になった。
(見出し左)
世界中の要望で、〝007〟顔負けの新兵器がいっぱい。新登場の超大型宇宙船、火星怪獣〝ガンジャ〟など特撮の最高技術がふんだんに駆使されている。
SF技術の結集! 日本語版・2時間に及ぶ長編映画
これはテレビ映画をあつめて作ったものではない。一五億円というものすごい製作費をかけ、カラーとワイドのキャメラで二時間の映画として新製作したものだ。
おなじものサンダーバード1号機から5号機まで勢揃いするのはもちろん。超大型火星探検船ゼロX号や、空でも海でも高速ですっ飛ばす高級車スーパー・ロイス・ペネロープ号などのSF新兵器が初登場する。
イギリス政府が技術の枠をこらしたゼロXが離陸後、国際的な犯罪組織フード団の妨害にあってつい落する。第二のゼロX号が発進するとき、イギリス政府は国際救助隊サンダーバードに出動を要請。地球上ではペネロープ号がフード団の首領を追いつめ、宇宙空間ではサンダーバード機が大活躍〔。〕
ゼロX号はついに人類初の火星着陸に成功するが、思いがけぬ怪獣ガンジャの赤外線照射と火焔弾攻撃をうけ、苦闘のすえ撃退する。地球に帰る途中、宇宙空間で着陸用の翼とドッキングに失敗。そのままアメリカの都市クレイグスビルへまっしぐらについ落……とSF技術の粋をこらしたスリルとアクションの連続だ。
テレビが未完のまま終って、〝サンダーバード隊はどうなったかな〟〝主人公のトレイシー兄弟の活躍が見れなくて淋しい〟という声が世界中から集まり、テレビ数十本分の製作費を投じて作られた劇場用映画だ。もちろん、NHKテレビと同じメンバーで吹き替えた日本語版で、ベビーギャングから老眼のおじいさんまで楽しめる。
映画評論家の岡俊雄氏は〝ストーリーも特撮もテレビより入念で実におもしろい。SF映画史上特筆に価いするユニークな傑作として、こんなに面白くたのしい映画は、この何年か見たことがない〟と手ばなしで絶賛、SF映画映画評論家の大伴昌司さんも〝日本の特撮映画もかなわない。すごい特撮です〟と太鼓判を押している。
とくに火星で探検隊をおそう怪獣ガンジャは、近ごろの怪獣ブームの中でも一番ひょうばんになっているもの。外側は岩のような形だが赤外線放射線をはいてすべてをやきつくす猛力をもっている〔。〕
何しろ耳はアンテナとしての機能をもち、眼は赤外線眼なので、鋼鉄の中までも見通してしまう。放射線をはくのはのどの奥に液体サンソぶくろをもっているからで毒ぶくろからはSTTという毒素が流出。人間たちをとかすというおそろしい怪獣だ。
「サンダーバード」ロードショウ決まる 7月15日から全国で
日本中の「サンダーバード」ファン待望の映画公開は、7月15日から全国一斉にロードショウときまった。東京地方はつぎの三館。
新宿ミラノ座(新宿歌舞伎町、コマ劇場向い、西武新宿駅そば。電話は368・1189)、渋谷パンテオン(渋谷駅前、東急文化会館内。電話は407・7219)
松竹セントラル(地下鉄東銀座駅前。東劇向い、松竹会館内。電話は541・2714)
上映時間は3館共通で、9・30、11・10、1・20、3・30、5・35、7・40の1日6回。ただし、7月15日、17日から21日にかぎり11・10からの5回。
入場料は幼児150円、小中学生250円、高校大学生330円一般400円。
なお渋谷パンテオンだけは最終回7・40からのみ、英語版を上映する。もちろん日本語のスーパーインポーズつきだから、中学生、高校生諸君の英語勉強にはもってこいの材料だ。
右写真:火星でガンジャに襲われるゼロXを描いたポスター
見 出 し:火星怪獣ガンジャ対宇宙船ゼロXの死闘
キャプション:赤外線放射で猛攻するガンジャ数十匹。サンダーバードの救援なるか?
左写真上:終盤、2号がゼロXにケーブルを打ち込んだ場面
見 出 し:ゼロXを救助せよ! 2号機のロープうち上げ成功
キャプション:火星探検から帰ったゼロX号はコントロールの故障で爆発寸前。サンダーバード2号が救助にむかった!
左写真中左:サンダーバード5号
見 出 し:サンダーバード5号
キャプション:地球上空をまわる宇宙ステーション
左写真中中:着陸するサンダーバード1号
見 出 し::サンダーバード1号
キャプション:原子力エンジンつきの偵察ロケット
左写真中右:宇宙で噴射するサンダーバード3号
見 出 し:サンダーバード3号
キャプション:月世界まで往復できる宇宙ロケット
左写真下:サンダーバード4号
見 出 し:サンダーバード4号
キャプション:輸送機2号のカプセル内につまれていて、水中では最高のスピードがでる改定救助用・水流ジェット機
中写真上:1号翼と2号翼を切り離すゼロX
見 出 し:空中で分解自由
キャプション:ゼロXは宇宙空間で二つのつばさを切りはなし、人類初の火星探検にスタート
中写真下:海上を航行するFAB 1
見 出 し:空も水もへいちゃら
キャプション:英国のロールスロイス特性の秘密新兵器。007がよだれを流す装備がズラリ完備。
※左下に『007は二度死ぬ』、右下に(左)『ローマで起った奇妙な出来事』(右)『夏の夜の10時30分』の広告。
1967年7月18日『朝日新聞』夕刊2面「新映画:大人も楽しめる サンダーバード ユナイト」
空飛ぶ新兵器に夢があり、色彩大型画面で楽しさが増した。
テレビでおなじみのサンダーバード。タイトルバックにその姿が登場するたびに、「一号!」「二号!」と、子供たちのかけ声がいっせいに起り、劇場内は大にぎわいだ。
物語の冒頭に、火星探検用ロケット「ゼロX」というのが、はじめて姿をみせる。自動装置で組立てられて全容をあらわしてゆく、その金属的な質感、メカニックな魅力、途方もない大きさ。子どもでなくても、思わず見とれてしまうおもしろさだ。火星での怪獣との戦いを中にはさんで、ゼロXにの故障を救う国際救助隊サンダーバードの活躍が物語の主軸になる。
特殊撮影の技術も、小道具の着想も、戦争には加担しない国際救助隊という設定も、そのうまさに感心させられる。子どもをだいじにしていることが、よくわかる。子どもの好きなスピード、冒険、空想、メカニズムなどの要素をそなえ、しかもグロテスクな恐怖や低俗な趣味への迎合を避けていることなど、学ぶべき点がある。
途中、物語がだれて、子どもたちはあきてきたのか、通路でかけっこをしていた。デビット・レイン〔ママ〕監督。日本語版、一時間三十分。原題 Thunderbirds are Go!〔ママ〕